フランスで焼き鳥の人気が寿司を上回る ワインに合うフランス風味の焼き鳥も普及
今フランスでは焼き鳥がブームになっていることを知っていますか?寿司やラーメンと並び、焼き鳥も日本料理の一品として知名度を伸ばしています。
今回は、なぜフランスで焼き鳥が話題になっているのか、フランス流の焼き鳥の実態についてなどを解説していきます。
フランスで焼き鳥は人気なのか
「フランスで焼き鳥が食べられているの?」「どの味付けがフランス人にウケるのか?」と気になりますよね。欧州では寿司やラーメンなどの人気が高い傾向にありますが、フランスでは焼き鳥の人気が群を抜いています。
辞書に「Yakitori」が載っているほどフランスでは焼き鳥の知名度が上がっており、日本の焼き鳥が食べられると話題の焼き鳥専門店もオープンしたほどです。
フランスでは寿司よりも焼き鳥が人気
出典:ジェトロ「日本食品に対する海外消費者意識アンケート調査」
日本貿易振興機構(ジェトロ)が行った調査によると、フランス人が好きな日本食は、焼き鳥が寿司を上回っているという驚きの結果になりました。
その他に、食べてみたい日本産品についての調査では「鶏肉」が1位に挙げられており、3位に「牛肉」が並びました。
この調査の結果は、鶏肉をフランス流にアレンジした焼き鳥がウケているフランスならではとも言えるでしょう。実際に購入した・消費した日本産品についての調査では、非常に好評であると評価する人が7割を占めており、さらに日本産品を高品質である・安全性が高い・健康であると評価する人も多く見られました。
どのような味付けがフランス人にウケている?
フランス人に好まれる焼き鳥はどのような味付けなのでしょうか?
フランスで提供されている焼き鳥はタレ味が基本になっており、「タレ=ソース」という感覚を持っているフランス人が多いので、タレをたっぷり付けるのがフランス人流の美味しい焼き鳥の食べ方なんだそうです。
焼き鳥の味を魚料理と肉料理の中間に感じるフランス人が多いため、焼き鳥にロゼワインを合わせて飲むというのもフランス人流の焼き鳥の楽しみ方です。
現地のスーパーにも並ぶほど焼き鳥が浸透している
焼き鳥の需要が高くなっていることから、現地のスーパーでは家庭用の焼き鳥を販売するようになりました。12本入りの冷凍焼き鳥は6.5ユーロ(約900円)で販売されており、味は日本の焼き鳥というよりもインドネシアやマレーシアなど東南アジアでよく食べられている焼き鳥「サテ」に似ています。
甘辛しょう油で味付けされたものもありますが、ショウガ&ピーナッツソース、レモングラス&ココナッツミルクなど、日本ではなかなか味わうことができない焼き鳥も。
フランス人の好みに合うよう、焼き鳥が進化していることが伺えますね。
なぜ焼き鳥が広まったのか
「なぜ美食の街、フランスで焼き鳥が広まったのか?」と疑問に思われる方もいるでしょう。どのようにフランスで焼き鳥が広まったのか、最初に焼き鳥を広めたのは誰なのかなど、詳しく見ていきましょう。
寿司のサイドメニューで知れ渡った
焼き鳥がフランス全土に知れ渡った理由は、寿司のサイドメニューとして焼き鳥を提供しているレストランが多いために消費者が増えたからと考えられます。
焼き鳥が人気になり、今では寿司やラーメンなどの日本食レストランのサイドメニューとしてだけでなく、焼き鳥の専門店もできるほどになりました。
一人の日本人シェフによって知名度が上がった
フランスで焼き鳥を広めたのは、一人の日本人シェフとも言われています。
シェフの猪股善人さんは、数々の焼き鳥店で修業を積んだ後、フランスに渡ります。1994年に帰国をするまで、焼き鳥をフランスに広めました。そんな猪股さんによると、当時働いていたレストランのイベントで焼き鳥が好評になり、「焼き鳥はフランス人にウケる」と考えるようになったそうです。
焼き鳥専門店のシェフになった頃、フランス人にとって焼き鳥は前菜であることやタレをとにかく沢山かけることなどを知り、様々な改良を加えていきました。試行錯誤した結果だんだんと客足が増えていき、サイドメニューであった焼き鳥がフランス中に知れ渡っていったようです。
また、フランスでは鶏肉の文化が発達しており、鶏肉を好んで食べる人も多く見られます。焼き鳥は鶏肉をメインに使用するので、鶏肉好きのフランス人に広く知れ渡ったのではないでしょうか。
フランス流に進化した焼き鳥とは
フランスでは焼き鳥=串物と広まっていることから魚介類や牛肉、野菜なども焼き鳥と言われるようです。
それでは食にこだわるフランス人が焼き鳥をアレンジするとどうなるのでしょうか?ここからはフランスで進化した焼き鳥を食べ方と合わせて解説していきます。
牛肉のチーズ巻き
牛肉とチーズの組み合わせはフランス人しか思いつかないオシャレな焼き鳥と言えるでしょう。家庭でも簡単に作れて味も逸品という点でフランス人にウケているようです。厚切りしたチーズに牛肉の薄切り、または牛肉のカルパッチョを巻きつけ最後にタレをひたひたになるまでかけて食べます。
ワインとの相性がとても良く、ワイン消費量が年間42リットルと言われるフランスで、チーズの牛肉巻きはおつまみとして食べられているのかもしれませんね。フランスではあまり牛肉の薄切りが販売されていないようなので、牛肉のカルパッチョなどを代用する人もいるようです。
フランス風味のなんちゃって焼き鳥
フランスのレシピ本に載っている焼き鳥のレシピですが、東南アジアで食べられている「サテ」に似ています。鶏肉を醤油、ピーナッツバター、レモン汁、カレー粉、ココナッツミルクを合わせた液に浸してマリネにします。そのあと焼き鳥になるよう串に刺してオーブン皿に並べ、最後にグリルで焼き上げて食べます。
「味付けが日本の焼き鳥とはかけ離れている」「オーブン皿に焼き鳥を並べて焼くの?」と困惑しますが、フランスのスーパーに並ぶ冷凍焼き鳥はサテのような味付けで販売されているのでフランス人からすると自然なのでしょう。串を水に浸けておかずにグリルで焼くと串が燃えてしまうので、オーブン皿に乗せて簡単に焼き鳥を温める調理法を選ぶのかもしれません。
サーモンの焼き鳥
フランスではサーモンも焼き鳥として提供されています。フランスの有名シェフが公開したレシピによると、サーモンにパクチー、レモングラス、エシャロット(玉ねぎの一種)を混ぜ、最後にタマリンド(マメ科の一種)を加えて焼くようです。
パクチーを使用しているのでエスニックな味がしそうな一品ですね。さすがフランス人シェフと言わんばかりのオシャレな焼き鳥です。
まとめ
三ツ星レストランが数多く並ぶフランスで焼き鳥が人気になっているとは驚きでしたね。日本食ブームが加速する中で、日本の焼き鳥がフランスで有名になっているのは嬉しいことです。
しかし、焼き鳥と言ってもフランス流にアレンジされたものや、アジア版焼き鳥のサテが広まっており、日本人は困惑する場面も多いようです。
フランスで日本の焼き鳥を味わいながら、フランス流の焼き鳥にも挑戦すると焼き鳥の進化を楽しめるかもしれません。